7月11日 20時49分

日本政府が１１日にソウルで予定していた自衛隊の創設記念行事を巡り、会場に予定されていたホテルが反日的な世論を理由に、突然、使用を拒否した問題で、記念行事は日本大使公邸に場所を変えて行われています。
 
この問題は、ソウルの日本大使館が１１日夜、自衛隊創設を記念する行事をロッテホテルで開く予定にしていたところ、１０日夜になって突然、ホテル側が会場の使用を拒否すると伝えてきたものです。
日本大使館は急きょ、会場を大使公邸に変えることを決め、１１日夕方から各国の外交関係者らが出席して記念行事が開かれています。

日本大使公邸の近くでは行事に反対する団体が抗議のデモを行っていて、大勢の警察官が辺りを封鎖するなど、ものものしい雰囲気に包まれています。
ロッテホテルは、前日に会場の使用を拒否した理由について、「予約の段階では行事の内容を確認していなかったが、自衛隊の創設を記念したものだと知って、国民感情を考えて取り消しを決めた」として、反日的な世論やほかの宿泊客の安全確保が理由だと説明しています。

しかし、日本大使館は去年もこの行事をロッテホテルで行っており、ことしも予約の段階から内容を説明したということです。
この行事を巡っては、１０日、大手紙の東亜日報が１面で、「韓国の国民感情を無視した措置だと指摘されている」と批判的に報じ、これに反応する形で、ロッテホテルには多くの抗議電話が寄せられたうえ、複数の団体がホテル前で抗議活動を行う考えを示したということです。

ふだんから日本に対する厳しい姿勢が目立つ韓国メディアの報道をきっかけに、ホテルが会場の使用を前日に拒否するという異例の事態で、日韓関係がさらに冷え込むことが懸念されます。

ソウル市民からは賛否の声

今回、ロッテホテルが行事の前日になって会場の使用を拒否したことについて、ソウル市民の間からは、ホテルの判断は理解できるという声が多く聞かれた一方、突然のキャンセルはよくないという意見も聞かれました。
このうち、６０代の男性は「ホテル側は政治的な背景も考えたのではないでしょうか。韓国で自衛隊の創設記念行事を開くのは、国民感情としてはよくはないでしょう」と話していたほか、４０代の女性も「今はあまりにも両国の雰囲気がよくないので、ホテルの判断も理解できます」と話していました。

その一方で、「前日にキャンセルするのは、手続き上、問題です」とか、「準備をすべて終えていただろうし、キャンセルするならもう少し早く申し出ればよかったと思います」と話す人もいました。

また、観光でソウルを訪れているという日本人の２０代の男性は「こういうニュースを聞くと、寂しいし、悲しいです。近い国どうし、日本も韓国ももう少し仲よくできればいいと思います」と話していました。